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乾式研磨法

海水起源のマンガンクラスト

 

北西太平洋域には、海水から生成する鉄マンガン酸化物の塊が広く分布している。これは普通の海水からゆっくりと(1000年に5ミクロン程度)沈殿し続ける半固結の化学堆積岩である。レアメタルを吸着した鉄・マンガン酸化物を主成分とし、ほかに、陸源の鉱物粒子(石英,長石など) ,生物の骨格(有孔虫、放散虫)、火山岩片、宇宙塵など、多種多様の鉱物を含んでいる。“長レンジの海洋コア”としても注目され、過去の地球表層環境変化やイベントを記録する堆積物として期待されるものの、高い含水率と空隙率を示し、その構成粒子は多様な粒径,硬度と複雑な成長組織を持つため、検鏡用の試料作製は至難の技である。写真は乾式研磨法によるクラストの研磨面(左)と透過像(右)である。かつては観察できなかった、クラスト中の磁鉄鉱粒子や数ミクロン間隔の縞模様などまで観察できるようになった。

解説・写真撮影 高知大学特任教授 臼井朗

 

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